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2014/01/09 Thu

Category: 独り言

犬のQOLを考える。。。

犬と暮らしていれば多かれ少なかれ何かしらあるほうが当たりまえで、何事もなく生涯を全うできたとしたらそれは本当にありがたい奇跡のようなものだと思っている。意図的にせよ偶然にせよ、飼い主がやってきたことがその犬の生涯にピントがぴたりと合った結果なのだろうから。。。
同じ家に暮らし同じ血統で同じ食生活でも同じ病気になるとは限らない。もし同じものになるとしたら、それは遺伝疾患か、環境要因によるものだろうと思う。できるだけ病気などとは対面したくないのだから環境による要因があるようなら積極的に取り除くことは良いことだと思う。

犬の寿命は長いほうでも15年くらいが目途のようで、我が家の犬たちも15歳を超えて生き続けている子は少ないほうだ。日本人の平均寿命が82.59才とのことだが、犬の15歳が日本人の83才だとしたら犬の1年は日本人の5.5倍にあたる。

東京都家庭動物愛護協会会長・須田動物病院院長のデータによれば犬の20歳を人間の100才として比較すると人間と非常に類似しているそうだ。それは1930年当時も、1987年もだ。
今から5年前の2009年には犬の平均死亡年齢は15・1歳。現在のデータがあればたぶんもう少し伸びているのではないかと思う。
ここで明らかにされている年齢は死亡した年齢であって、実は健康で暮らしている寿命なるものがありそれを健康寿命としている。その健康寿命はもっともっと短いのだ。

犬たちが生きているという大切な時間は「健康寿命」のことであり、こちらの先生が定義している「心理的,生理的に自立している」ということが彼らにとっても私たち飼い主にとっても最も大切な部分なのだろうなと思うのだ。

犬のQOLを考えるとき、病気と戦う際に、彼らの生活の質を上げるという部分に何を重きとするかは飼い主の判断にゆだねられる。

昨年までに21頭の犬を見送ってみて、それぞれの病気と闘ってみてひとつ解ったことがある。それは健康寿命と死亡寿命の差を出来うる限り短くすることが犬にとっても飼い主にとっても一番の幸せなのだということだ。

犬は悲しいことに人間ほど知能が高くはない。だから、なぜ痛いのかなぜ苦しいのかを理解することはできない。人間だけがその理由を知り対処方法を掴むことができる。
それは獣医学の発展によって今は人間並みに高度なことまでできるようになったからだろう。治療の範囲も昔に比べたら限りなく広くなった。
そして犬の寿命は人のおおよそ5倍以上の速さでやってくるとするならば延命を考えるとき、犬の年齢を人に置き換えた換算で考えることも大切だ。

ではその中で犬にとって最善の方法とはなんだろうかと考えてみる。

先日、15歳を迎えようとしている大型犬の後ろ脚に癌らしきものができたという相談事があった。治療方法は4つ、選択肢は5つ。

一つ目は癌ができた足の切断とその後の抗がん剤治療。
二つ目は癌の部分のみの切除とその後の抗がん剤治療。
三つ目は抗がん剤治療のみ。
四つめは緩和的治療。つまり痛み止めやステロイドによって延命のみを目的とする治療。
五つ目は苦しみが酷くなったときに安楽死。

五つ目の選択肢は最初の4つの選択肢ののちに起きうることかもしれないがそれはいつやってくるかもわからない一つでもある。

こうした選択肢を選ぶ基準はどこにも誰にもない。しかし獣医さんは積極的治療(1から3)を選ぶことのほうが多い。それは「今できる最善の方法で命を永らえる可能性のあるものはどれか」という視点で見ているからだ。
実は一緒に暮らしている飼い主の側は視点が同じとは限らない。

飼い主は犬が元気に暮らしていける方法を望むことのほうが多い。実際、私はいつもそうだった。

生きとし生けるものはいつか必ず死がやってくる。その死はできる限り穏やかなものであってほしいし、その時までの時間ができうる限り痛みや苦しみから解放されるものであってほしいと思っている。

検査に関しても結果として病名が確定されたのちに投薬や治療方法が緩和的治療とはかけ離れたものが行われるだろうというのなら選択の意義もあるが、結果、治療はそう変わらないというのなら、犬に大きな不安を持たせ、残り少ない体力を減らすことを避けようと考えている。

手術等も、できものを取れば「完治」するものであるのなら早急に判断し実行してもらうべきだと思う。でも完治する可能性が少ないものや、残された寿命のほうが完治よりずっと短いものの場合や、ほかに何かの問題を抱えていて、手術によってその犬ののちの生活に支障が起きる可能性が大きいものだったなら手術は選ばない。

先に書いた大型犬は股関節に問題があり、現状でも軽い痛みが発症している子だった。決めるのは飼い主さんだよと言いながらも、私の犬だったら「断脚はしない」と答えた。抗がん剤も状況によるけど受けないだろうと思うとも答えた。それは抗がん剤の投与をしてきた犬たちの結果が自分の理想とは程遠いものしか出会っていないからだ。大型犬が15歳を超えて生きていることは実に少ない。断脚後今まで通りの生活ができる可能性はひどく少なく感じている。股関節の問題がなかったとしても年を取れば人と同じように関節は弱くなっている。4本の足があってもいずれ歩けなくなるだろう日がやってくるというのに、今あえて断脚を選ぶか…。犬の1年が人間だったら約5.5年に相当するのなら、これからの一年の間にどんな風な変化を起こしていくかを想像してみるといい。

やらなければ良かったことをやってしまった後悔は、やれば良かったことをやらなかった後悔よりもずっと大きい。私の場合はそうだった。自責の念にずっと苦しめられる。飼い主さんたちにはこんな辛い思いはしてほしくないと思っている。

今でも犬は共に暮らす人が認識でき、自分の足で立ち・歩き、自分の口で食べることができ、一人でトイレに行けることが最善だと思っている。それができるなら体に病気を持っていても、薬を飲んでいるのだとしても、点滴をしているのだとしても、「健康寿命」を続けていると思う。そしてその年齢もまた、何歳だからよしとするものではないのだと思っている。持って生まれた変えられない運命は誰にでもあるように、犬にだってそういう物はあるのだと思う。だから平均寿命を超えたからと言って偉いわけではないし、短かった寿命に嘆くことはないのだと思っている。

持って生まれたものをどんなふうに慈しんできたか、愛してきたか、その幸せを願って努力してきたか、それが一番大切なことだ。

私が、モトイ犬の飼い主たちが犬のそばにいる意味は、犬たちの健康寿命を少しでも長く伸ばしてあげることに他ならない。それは若く美しい時期から築くものであり、犬たちの健康を害するようなことをあえて選ばずのびやかにおおらかに育て、体力をつけ、いつか来る別れの時まで彼らの暮らしの質を高くし続けておくに尽きる。。。若く美しく元気である時間は意外にもとても短いものだから。。。
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